ブックレビュー|トネ・コーケン『スーパーカブ』

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ふとネットでみつけたライトノベル。タイトルと紹介あらすじが気になり購入。
レビューなどでも概ね好評だったので読んでみた。

…のだけれど、一部のレビューでも指摘されていたように、
この作品は文体に難があるのではないかと思う。

いや、読みながら自分が感じたのは、文体というよりも”表現”だ。

この小説の主人公・小熊は、あまり周囲とは関わりを持とうとはしない消極的な性格なのだけれど、それでも最低限の会話はしているわけだよね。

なんだけれども、たとえば以下のくだりなんかを読むと…

(テキストを打ち込むのはなんとなくいろいろ憚られるので画像で添付します)

本来ならば『会話』として記すべきくだりを、『ト書き』で説明してしまってる、と思う。

そう、”表現”ではなく、これは”説明”。

これ、文章で考える人が陥る落とし穴みたいなもんだと思うんだけど、
表現と説明は違うのではないかしら。

やはりそのシークエンスで登場人物が言葉のやり取りをしている場合、
それを会話で繋ぐのが読み手に対しても愉しみになるのであって、
情景を説明しただけでは、あらすじを記述しているだけになってしまうかな、と思うんだよね。

言うなれば、プロットのまま読者に提示してしまってるわけで。

…うーん、難しいなあ。
たぶんこのお話、骨子はいいんですよ。ちょっと引っ込み思案な女子高校生がふとしたキッカケでスーパーカプを手に入れて、その魅力にはまっていく、という…

でも、いろいろと未成熟な箇所は多々あるような気がするんですよね。

イラスト(担当・博氏)の挿画はかわいい ※文庫より

あと、気になったのが、夏休みに小熊がアルバイトをするんだけれど、それが
【通ってる学校の教諭から依頼されたバイク便】ということなのだが、
学校側が自校の生徒にバイクを使った仕事を頼むだろうか。
いちおう「山間地なのでバイク通学を認められている」という設定はあるけれど、
安全性を考えたら、常識としてどうかなァ? と、都内のガッコに通ってた自分からみれば頭の上に「?」が浮かぶ。

また、中盤で清里へ遠乗りしてソフトクリームを食べるくだりがあるけれど、
ここに描かれている清里は、現在の姿なのかしらん。世間でよく聞く噂では、あの場所が栄えていたのはバブルの頃までで、今はほぼ廃墟と化している…みたいに言われてたようなので、ちょっと気になった。

とはいえこの作者もおそらく物語の舞台となっている山梨に住んでいるのだろうし、
地理的な関係や実地も知った上で書かれているだろうとも思うのだけれど。

加えて、小熊の性格が終盤変わっていくけれど、
そこへの変化ももっと明確に描いてほしかったなあ。

そういったことがもっとできてれば、この作品の魅力も増したとは思う。

 

あんまりバックボーンを調べてないけど、おそらくこの小説はネット投稿サイトの1編がこうして文庫化されてるんだよね。
作者のトネ・コーケン氏はこれから伸びることも期待したい。

 

続刊もされ、コミカライズもされているので人気作であるのは間違いないのだとは思うけれど…
うーん。。。

 

コミカライズも出てはいるけれど、今後の続きを読みたいか、というと…
少し様子をみたい、かな。

[2019/04/21読了]

 

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