醤油のお店なのにテイスティングもできちゃう! 銀座のおもしろスポット 『職人醤油』はちいさなテーマパーク
銀座に醤油の専門店がある、という話を聞いて、興味を持ち訪ねてみることにしました。
場所は松屋銀座の地下2階。
エスカレーターを降りたすぐ脇のコーナーに、目的の店『職人醤油』が。
まずは所狭しと並ぶ小さな醤油瓶に圧倒。
ここの特徴は全国から集めた蔵元79銘柄の醤油を100mlの小瓶で提供する、というスタイルと、何より店頭で試飲ができる、という販売方式。
どんな雰囲気なんだろ? とまずは物見遊山で足を向けた次第。
このカウンターにて醤油の試飲ができる。
ということで、さっそく試してみることに。
お店の方が“醤油ソムリエ”よろしく様々な醤油の特徴を説明してくれ、好みに合った銘柄をチョイスしてくれます。
一覧表を手渡され、まずは醤油の種類について簡単なレクチャー。
この表のように、醤油には醸造や熟成の度合いで「白」「淡口」「甘口」「濃口」「再仕込」「溜」の6種に大別できるとのこと。
別紙ではそれぞれの銘柄の特徴をグラフ化。これで目的や嗜好に合った醤油が探しやすい。
試飲と共に醤油についての勉強もできるお得なスポットですね。
醤油といえば魚だけど、肉料理やカレー(!)にも合う銘柄というのを薦めています。
聞けば聞くほどどれを選ぼうかといろいろと迷う…
とりあえず「何にお使いになりたいですか?」とT.P.O.を促してくれたので、「やっぱ醤油といえば豆腐かなー」と思い浮かんだところで、店員さんが「それならこれですね」と出してきてくれたのが溜醤油の銘柄。
紙コップの水はチェイサーではなく口の中に残った味を流すためのもの。
ついでに「卵かけご飯に合うものは?」とリクエスト。
それと、さっきの説明書の隅に気になるモノがあったので、こちらもちょっと試してみたくなりました。
お猪口に注いだ醤油を、小さいスプーンですくって試す方式。
左奥から、冷奴にオススメの溜醤油・尾張のたまり(愛知)。カレーに合うという再仕込・イゲタ濃厚醤油(奈良)。それと再仕込の”アイスに合う”鶴醤(香川)。
利き酒ならぬ“利き醤油”ですね。
画面に映ってるボトル3種と、更に2種くらいを今回は試させていただきました。
各々の品評は省くとして、中でも驚きの味だったのが溜醤油の尾張のたまり。
まず瓶から注いだときにねっとりとした粘性があって、味も複雑。なのにぜんぜん塩辛さがない。旨味がぎゅっと詰まった風味。
これは今までに体験したことのない醤油。なかなか衝撃で感動しました。
と、いうことで、購入しちゃいました。
それでは、さっそく冷奴で。
では、ひと口。
うん、美味い。
深い風味があって、なのにまったく塩気を感じない。ホントに旨味だけが豆腐に足されて、しょっぱさが邪魔しない。
ヤバい。これはハマるなあ。
絹だけでは片手落ちなので、木綿豆腐でも試してみました。
個人的には絹よりも木綿派。
…どちらも旨し。
やはり店員さんのお薦めは正しいのである。
そうなると、醤油かけの王道・卵かけご飯はどれくらい旨いんだろ!?
試したくなるのが人情ってもの。
そんなわけで、続いて卵と白飯を準備しました。
では失礼して…
う・うまい…
正直、使ってる卵なんてスーパーのやっすいヤツなんだけど、この溜醤油をかけただけで高級ヨード卵にも比肩しうるくらいの至高の美味に。
うわ、こりゃすごい醤油だなあ…
ちなみにこの「尾張のたまり」は税込みで500円ちょっと。
うーん、このお金出してここまで料理がおいしくなるなら、ひと瓶ふた瓶、家に置いてあっても、いいなあ。
ちなみにこのあと家にあるいつもの醤油を使ったところ、しょっぱさに舌が痺れてどうしようもなかったのでした。
いちどでも旨いもんを口にしちゃうと、それまで食べてたものの味気無さを思い知るので悲劇だなぁ。
かつて大学の後輩が就職したときに職場の先輩から「お前を不幸にしてやる」と言われてチョー旨い高級店へ連れて行かれたという話を聞いたけど、その先輩の意地悪さをこんなときに思い出しますね。
舌を肥えさせるのは、不幸の始まり。
『職人醤油』で扱っている醤油は、どの銘柄も100mlの小瓶でほとんどが400~500円前後。
それでも、普段使ってるのが1リットルで200円くらいのヤツなので…価格的には25倍、か…
そりゃ美味しいわけですよね。
(とか書いちゃうとミもフタもないけど、まァ、かの三島由紀夫も「高いものが美味いものなんだ」と断言してたんだから、間違ってないだろう)
ひとつひとつは手頃な価格なので、銀座に行くときにはまた寄ってそのたびにひと瓶ずつ買うってのもアリかもね。
醤油についてもちょっと勉強できて、『職人醤油』はなかなか楽しい場所でした。
■職人醤油
※本店は群馬県前橋にあるらしい。