【不定期連載】電子書籍への道-[5] Kindleでの販売開始したぞ!! …ついでに一言
これまで第1回から第4回にわたってテキストデータの小説を電書化、AmazomのKDPにアップし販売を開始する、というプロセスを自分でも学びながらリポートしてきたんですが、
このたび無事にAmazonのサイトで販売開始したことを確認しました。
アスタリスク《*》 第Ⅰ部 -栞莉(しおり)- (ICON NOVELS)
画像をクリックすると販売ページへアクセスします。
「登録から72時間以内に販売開始されます」という説明だったんですが、いったん再登録の確認の通知が来た後、
(どうやらpixivで無料公開していたため著作権者の再確認が必要だったらしい)
ほぼ24時間後にAmazonの販売ページが公開されました。
もともとは習作的にpixivにて連載形式で書いていた小説なのですが、量が貯まってきたときにふと
「これ、そのまま電書にできんじゃね??」
と思い立ち、ちょうど電子書籍のノウハウを習得したいと思ってた矢先だったので、本作をサンプルにKDP販売までをやってみた次第です。
(pixiv版は現在も無料公開中)
もちろんこうして販売開始した以上、売上は大いに望みたいのですが…
どうかご支援よろしくお願いします(汗
また、このCOMIX東京というサイトも、いずれは作品を配信する場として計画もしており、それをどうやって行うか、また、無料配信をしたものをどの程度の割合のユーザーが有料購入してくれるのか。そんなデータもとれるかな、と思い、試験的に今回やってみました。
そうした実験の第一段階でもあったわけです。
現在、出版界は厳しい状況が続き、まったく浮上の緒が見えない状態です。
そんな中、作家たちは作品をいかにしてユーザーに提供し、それに課金してもらうようにするか。
皆が考えている中、本サイトも近々にひとつの提案ができればなあ、と考えています。
個人的な考えなんですが、私は漫画配信サイトやKindle販売にありがちな「第1話無料」とか「第1巻無料」といった手法には否定的です。
1話だけタダで読んでもその作品の面白さは伝わらないでしょうし、2巻以降が有料となれば、そこから先は読むのを辞めてしまうでしょう。
(だいたい、連載の第1話なんて必ずしも面白いもんじゃないですよ)
だからといって、最近急増しているウェブコミックの配信サイトの基本すべて無料というやり方もまた悪手だと考えます。
その方法は運営者だけが儲けるシステムであり、作品を作る者達は無料での掲載を強いられています。
これではただ搾取の対象にされるだけでしょう。
作品⇒商品へと変換される過程で、それを作った者が何も得られないというルールは、おかしすぎます。
(『電脳マヴォ』のような、創作同人的な思想で運営されているのならともかく、ですけどね。)
商業サイトを運営するのなら、キチンと作家に報酬は保証すべきですよ。
だって、八百屋が店先に並べる野菜をどこかの畑からタダで持ってきて売るようなこと、しないでしょ普通。
野菜は農家の方がいっしょうけんめい手間をかけて育てたもの。
漫画だって一緒です。客寄せのためにショーケースに無償提供することはないと思うんです。
ですが、また、ユーザー側から考えたとき、全部有料制となった場合、お金を払わなければ作品の良し悪しも判断できないのでは、これもまた送り手と受け手の双方にとって良きことではありません。
それに、
「そもそも、漫画ってお金払って読んでたか?」
って、自分が子供の頃を振り返って思うんですよね。
ボクが小学生の時分は、たとえば「オレ今週ジャンプ買うから、お前サンデー買ってよなー。マガジンは◯◯ちゃんで、XXちゃんはチャンピオンな」
といったように、子供たちのグループで分担して雑誌を買い合って、少ない小遣いでやりくりしていたと思うんですよね。
さらにお金がなければ、本屋で立ち読みをするとか。『あしたのジョー』全20巻をすべて立ち読みして育ったような世代です。
あるいは友達の家に全巻揃ってる『火の鳥』や『鉄腕アトム』を読み漁ったり。
そうした体験を経て、“どうしても手許に置いておきたい”と思った漫画を、書店でいっしょうけんめい探して『デビルマン』や『アストロ球団』なんかの単行本を自室の本棚に並べていったものです。
漫画って、最初の出逢いは無料なんですよね。
それが’80~’90年代のマンガブームでなんでもかんでも漫画なら出せば売れるような甘い汁吸い続けた出版社が忘れてしまっただけではないでしょうか。
(出版社のエラい人は、それがわからんのです!)
これは漫画に限らず、映画はTVで初めて体験するとか、音楽はラジオから流れてきたのを気に入ったからレコードを買いに行くとか、
そういう流れで娯楽ってものを消費し、お金を払ってきたんだと思うんですよね。
実のところ、こんな原体験に現状を打開するヒントがあるような気がします。
どこまでを無料にし、どこからならお金を出してもいいと思ってもらえるのか。
その匙加減を見極めるのが大事なんじゃないのかなあ。
また、出版不況の煽りを受け、私の世代の描き手たちは悉く作品を発表する場を喪い、露頭に迷いつつあります。
でも、もともと表現したいものがあるからこそ、漫画家になろうとしたんですよ。
だから”描きたいもの”はまだまだ各作家たちの中に溢れるほど残ってるわけです。
それを表に出さないまま墓場の骨壷に収めてしまうのって、すごく勿体無いと思いませんか?
そんな考えをもって、どうにかそうした作り手たちの作品に陽の光を当てられるようなステージを創れればなあ、と思っています。
COMIX東京は、作り手が本当に描きたいものを発表し、少しでも湖口の足しになれるような、そんなプラットフォームを創設するため、現在準備を進めています。
なんとか年内中、冬コミまでには概要をお伝えできるようにしたいですね。
さて、こうして販売までのプロセスをひと通り行うことで、次は漫画の電書化に挑みたいと思っています。
以下次号。