ハシゴで美術館巡り[1]~祖父江慎×コズフィッシュ展

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現在都内で開催中の
日比谷図書文化館にて開催中の『祖父江慎×コズフィッシュ展』
と、
弥生美術館『わが青春の「同棲時代」上村和夫×美女解体新書展』

日程もほぼ重なってるし、
日比谷図書文化館は日比谷公園内だし、弥生美術館は根津だし、
(どっちも大きな会場じゃないし)
「こりゃ1日でハシゴできるんじゃね?」
と思い立ったので、実行することにしました。

 

ということで、まずは日比谷の『祖父江慎×コズフィッシュ展』へ。

日比谷図書文化館というのは言わずもがなの日比谷図書館。
日比谷公園の森の中にある、特徴的な三角の建物。

鋭角的なパースが美しく、個人的に好きな建物のひとつ
鋭角的なパースが美しく、個人的に好きな建物のひとつ

ここで開催されています。

柱にデコされたディスプレイ
柱にデコされたディスプレイ

この日比谷図書文化館は割と漫画関連の展示も催されているようで、以前にもながやす巧先生の展示なんかを行っていました。

これは2014年12月開催のときのもの。
これは2014年12月開催のときのもの。

さて、改めて今回の祖父江慎氏の展示を。

チラシより
チラシより

祖父江慎といえば現代アートの代表的グラフィック・アーティストですが、こと出版界に関して云えば、記憶に残る多くの装丁の仕事を残してきています。

殊に、吉田戦車著『伝染るんです。』のカバーデザインは衝撃的で、
その余りの斬新さに暫し書店で呆然となった憶えがあります。

祖父江慎×コズフィッシュ展 紹介サイトより

だって、ハナっからお約束や決まり事を無視しまくってるんですよ。

中でも凄いと思ったのは帯で、断裁をあえてナナメにしている…
こんなの、乱丁として返本されるレベル。
(たしか書籍の中に「これは乱丁ではありません」と但し書きがあったような気がする)
それをあえてやってしまった祖父江氏の前代未聞のセンスに唖然とさせられたものでした。

 

展示はそうしたこれまでに祖父江氏の手がけた書籍単行本の展示を年代順に陳列するところから、グラフィック、フォント製作に至るまで様々な仕事を網羅。

やはり、というか所謂サブカル系の書籍の装丁が多くみられました。

漫画単行本や、雑誌に関する仕事も「えっこれも祖父江慎の装丁だったの??」と再発見させられたり。
もともと自分もグラフィックデザインなんかが好きだし、それなりに普段から装丁デザインには目を向けているつもりだったんですけどね。

 

あのブルーナ『ミッフィー』の絵本も手がけていたとは、知りませんでした。
勉強不足。

ちいさなうさこちゃん (1才からのうさこちゃんの絵本セット1) (子どもがはじめてであう絵本)
うさこちゃんとどうぶつえん (1才からのうさこちゃんの絵本セット1) (子どもがはじめてであう絵本)
うさこちゃんのたんじょうび (2才からのうさこちゃんの絵本セット1) (子どもがはじめてであう絵本)

けれど、はっきり云って、実際には仕事が精細すぎてこの展示だけではけっこう専門知識がないとついていけない…という内容。

チラシ裏面より
チラシ裏面より

カバーにしても、刷り出しを何十通りも出してテストしてみたり…
(まあ、大手資本の出版社でなければここまでやらせてくれないだろうなぁ…とも思えるんだけど)

書籍本文の指定なんかは、正直「こんな細かいとこまで指定すんの?」とちょっと驚かされました。
でも、本当の装丁家なら、これくらい当然の仕事=指定なんて当たり前の世界なのかも。

展示の一部、夏目漱石『心』の装丁。

「祖父江慎×コズフィッシュ展」サイトより

ただ、この『心』の箱表装に関しては、骸骨のイラストを入れたのってちょと装丁家の自己主張が過ぎたんでないかなァ…と思ったり。

まあ…私自身が漱石ファンだから、ちょっと目が厳しくなっちゃうのかもしれませんが。
(1984年版で全集は持ってるし、『心』と『猫』は初版を復刻したものを持ってる…あ、ただの自慢デス)

「祖父江慎×コズフィッシュ展」サイトより

でも、やっぱこーゆう構成ってシビれるんスよねえ…。

『心』は文庫本全集も合わせてすでに4冊も持っているので、さすがにこれ以上は増やせませんが…
漱石 心 (祖父江慎ブックデザイン)漱石 心 (祖父江慎ブックデザイン)

『心』に続き次は『吾輩は猫である』の装丁を現在手がけておられているということで、その草案をいくつか展示していました。
どうも当初はこの『心』と同じく初版に準じた造りを目指していたらしいのだけれど、アレはフランス綴というページを読むたびに栞代わりにペーパーナイフで袋綴じみたいのを切っていく方式なんで、現代ではそんな手間のかかる本はまァぜったいムリということ。
(ご本人もそんなことを匂わせたコメントを掲げてます)

フランス綴 -製本のひきだし

会場を巡りながら、自分なんて素人がただ装丁のお遊びをしているに過ぎないんだなぁ、と思い知らされるのでした。

 

展示は前期後期に分かれ入れ替えがあるらしいので、再度来訪してみようと思います。

祖父江慎×コズフィッシュ展 -日比谷図書文化館

 

ちなみにこれが入場券。

下のQRコードをかざすスタイル
下のQRコードをかざすスタイル

 

と、いうことで、次は根津の弥生美術館『わが青春の「同棲時代」上村和夫×美女解体新書展』へ。

[つづく]

 


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