【ネタバレなし】『スターウォーズ フォースの覚醒』は史上最高に金をかけて作られた究極の”ファンムービー”

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日本でも『スターウォーズ』の新章、『エピソードⅦ フォースの覚醒』公開になりましたね。
今回は根っからのSWファンであるJJエイブラムスが監督ということで、かなり期待されています。

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公開チラシ

JJエイブラムスといえばリブートされた『スター・トレック』シリーズの監督を務めてたんですが、「ごめん俺SWのほうが好きだしー」ということであっさり降板。イディックから乗り換えてフォースの軍門に下ってしまいました。

実のところ自分はSWよりもトレックが好きなので「オイオイちょっと待てよ」と思うところもあるんですが、まァ監督の主義の問題なので仕方ありません。SWとトレックの選択はイデオロギーの闘争なんです。
かつてSWエピソードⅠが米国で封切りされた折、劇場前に徹夜で上映を待つスターウォーズファンの列に向かってトレックマニア(俗に「トレッキー」とか「トレッカー」と呼ばれる)の連中がプラカードを掲げて抗議デモを行うというとてもオモシロい行動も起こしてるくらいですし。
(こんなアメリカ人の馬鹿さ加減って大好きなんですが)

 

脱線するけど、JJ版トレックが続いてたなら、あの世界は言ってみればオリジナルのトレックからみたら”平行世界”になるわけだから、ひょっとしてクリス・パインのカークは、本筋における「平行世界のカーク」=ティベリウスになっていったらおもしろいのになァ…と勝手に妄想を広げてたんですが、あれはあそこで製作ストップしちゃうみたいですねぇ。
(まあ、云うなればティベリウスはダークサイドに堕ちたカークみたいなもんなんだけど)

JJトレックはけっこう面白かったんで、続きが見られないのは残念。せっかくカーンまで出てきたのに…

 

【追記】
って思ったら、なんとトレックはそのまま続き、JJはプロデューサーに格上げされたみたいですね。

監督は『ワイルド・スピード』シリーズで「X3 TOKYO DRIFT」以降を担ったジャスティン・リン。
果たしてどなっちゃうんでしょ…??
アクション主体になるのかなァ。

 

閑話休題。

そんなわけでスタートレックほど熱意は持ってないにせよ(ここ強調)、スターウォーズはずっと観てきていたので、今回も劇場に足を運びました。

ネタバレは嫌なので、あくまでもそれに触れない感想を。

 

自分自身にSWには大して思い入れがないんだけれど、
やっぱり、それを大好きな人間が作った作品には愛がある。
と、思った。

愛情を込めて創られた作品には、きちんと魂が宿るもんです。
なので、これからエピソードⅦ~Ⅸを担うのが、SWが大好きなJJで正解、なんだと思う次第。

どんなジャンルだって、本当に好きな人間の情熱には敵わないでしょ?
やっぱ、好きなヤツが形にするのがいちばんです。

 

それがまったく機能せずに関心も愛情も無い人間たちがこねくり回してスッカラカンの作品を作り続けてきてしまってるのが、残念ながらこの日本だと思うんですが。

さてここからはそんな日本映画のシステムについての愚痴。ぐち、グチ。

上の”法則”を顧みないで、ただ人気コンテンツだからってだけで実写化して劇場公開したって、
観客はそこまで馬鹿じゃないし、そうした作る側の打算やら算盤勘定やらを見透かすもんです。

やる気のない作品は、人を魅了する力もまた無い。
魅力を発散していないコンテンツに人が来るわけがない。

こんな悪循環が輪廻して、結果どんどんダメになっていっちゃう。

宇宙戦艦ヤマト。
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デビルマン。
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(※ただ、デビルマンについては那須監督をちょっと擁護したくもあるんだけど。あれは漫画原作原理主義には到底受け容れ難い出来だったけど、おそらく那須監督はTVアニメ版の印象で請けたか依頼されたんじゃないかと思ってるんですよ。だって『ビーバップハイスクール』シリーズの監督ですよ。あのノリでTVアニメ=辻真先版を作ってみたら、それなりに面白かったと思う。要は漫画原作通りのモノしかユーザーが望んでいなかったことから起きた悲劇だと自分は捉えてます。 ※ただし完成形としての映画の出来とは別。)

 

ゴジラの”vs”シリーズも然り。
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(私は『ゴジラvsデストロイア』の終映後「やる気が無いなら作るんじゃねーよ!!」と日劇の中心で叫びました。実話。)

今回ようやくそうしたファン=庵野秀明が総監督になり、’84年以来続いてきた暗く長いシンネルをようやく抜けることができるのかナ?
(なんか、もっともっと深い沼に堕ちそうな気もするんですが…)

※あ、いちおう断わっとくと、『ミレニアム』以降は割と評価してます、自分。

平成ゴジラに対して平成ガメラ三部作は長らく「特撮が撮りたい」と言い続けてきた金子修介監督が見事に傑作を完成させてるし。
(金子監督は30年ほど昔のTVトーク番組で「ウルトラQをリメイクしたい。脚本も書いてる」と語っている。後に『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』を手がけ現時点で日本の二大怪獣「ゴジラ」と「ガメラ」を手がけた唯一の監督となった ←※「平成ガメラ」の特技監督樋口真嗣は今度の『シン・ゴジラ』では監督を務める)
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ルパン三世は…ちょっとだけ認める。

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あれは実写版じたいをアニメと切り離して観る限りはそれなりのエンターテインメントにまとまってると思う。
(ちなみに筆者は北村龍平監督はあまり好きではない。だが『ルパン』はこれまでの北村作品ではいちばん面白かった。困ったことに。)
でも、明らかに科学考証的に間違ってることがあったのはNGだよ。不二子がジェット背負って床センサーを回避するくだりがあるけれど、あれ作用反作用の原理で浮かせた体重分の荷重が床にかかっちゃうから。「籠の中の鳥が飛ぶと鳥かごの総量は鳥が浮いてるぶん軽くなるのか?」という仮想実験の回答に同じ。

 

…あれ、また脱線した。

 

ともかく、有名なコンテンツを「ああ、知ってる知ってる。好き好き」程度の感情で作ることがいかに地雷なのか、枚挙に暇がない状態が懲りもせずに続くのが日本映画界の残念なところ。

まァ例を挙げたらキリがないんで、いったん置いておきましよう。この話しはいずれまたの機会、ってことで。

 

さて、そんな打算的商業主義とはまったく別の、”ホントに好きで好きでしょうがないから作った”という存在として、ファンムービーというジャンルがある。
日本で云えば、同人の二次創作に近いかも。

たとえばバットマンなんかはパッと見るとオフィシャルで製作されたのか!? と見紛うクオリティのファンムービーがYouTubeにゴロゴロ転がってたりする。

Batman Fan Made Filmのいくつか。今回は貼れてないけど、以前探してた中にはBatMobileまでしっかり作り込んでる作品まであってびっくり。

バットマンvsキャップという、版元を超えた闘いも。

 

SWにも、チョー有名な“TROOPS”という短編がある。

ep.Ⅳでの、ルークの養父母の死の真相を描く衝撃の密着ドキュメンタリー。
(これけっこう好き。)

 

日本でいえば、まァこれも庵野秀明監督の作品『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』なんかがこれに当てはまるのかも。
※これは映像貼りません。探せばあるのかもしれないけど。

このあたり、庵野版『帰ってきた…』と同じDAICIN FILMの『愛國戦隊大日本』のパロディ作品列とはちょっと趣は違ってるのかもしれないですね。

『大日本』スチル

 

ついでだけど、スターウォーズ関連でこんな映像がヒットしました。
Ⅰ~Ⅵまでを同時に再生するというかなりトランスな動画。

ほとんどトリップムービーです。

[紹介サイト]
「スター・ウォーズ」全6作品を全部重ねて再生するとこうなる……という2時間超の力作動画「Star Wars Wars」 – ツイナビ

最近新章公開にあたり「Ⅰ~Ⅵどの順番で観るのがいいの?」といった議論がありましたが、これなら1回で済みますよね??

「旧・新全6作、どんな順番で観る?」スター・ウォーズ・イヤー記念連載『スター・ウォーズ』ノ・ミカタ – NewsACT

 

でも、同じく「バットマンが作りたくて作りたくて仕方なかった」マニアであるケヴィン・スミスなんかはその感情をこじらせてヘンなモンばかり撮るようになっちゃったりするんだけど。
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で、ここまで眺めてて、判ったこと。

今回の『スターウォーズ フォースの覚醒』は、ファンであるJJエイブラムスによる、究極の”ファンムービー”である。

間違いなく、JJエイブラムスのスターウォーズ愛に満ち溢れている作品であるのは確かです。

 

振り返ってみれば、最初の『スターウォーズ』(エピソードⅣ 新たなる希望)にしたって、もともとジョージ・ルーカスがTV活劇『フラッシュ・ゴードン』を作りたかったんだけれどその版権が取れずにオリジナルものをを創作したんでしたっけ。

…ああ、だから自分はエピソードⅣだけはなぜか大好きなんだろうな…実はルーカルの冒険活劇への愛がたっぶりこもってるわけなんだから。

もともとが作品の完成度よりもそんな愛のたっぷりふりかけられてる作品が大好きな自分だし。

 

ちなみに『フラッシュ・ゴードン』は後にディノ・デ・ラウレンティス製作で映画になったけれど…やっぱり愛のこもってない駄作になっちゃってましたね…
(『Ted』ではそのラウレンティス版フラッシュ愛に満ち満ちてましたが)

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上の文の意味がわからなければチェック!!

 

で、今回のまとめ。

『フランケンシュタイン』ではないけれど、
愛かなければ、作ってはいけないのです…。

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創造主は、愛を持った者が担うべき、ってことですね。

 



参考にこんなのもいいよ。
ファンボーイズ [DVD]ファンボーイズ [DVD]

DVD解説から:

“「死ぬ前に『エピソード1』を見たい」と願う末期ガンで余命わずかのライナス(クリス・マークエット)の願いを叶えるため、
ジョージ・ルーカスの本拠地であるスカイウォーカーランチに侵入し『エピソード1』のフィルムを盗みだし、
世界で最初に見たファンとなり歴史に名を刻もうと、車でアメリカ横断の旅に出る”

という、なんだかつい先日SW新作関連のトピックで耳にしたような話が展開するんだけど、これ現在のep.Ⅶ公開を遡ること6年前の2009年の作品。
ひょっとして、あのトピックはこの映画に触発されたのかも…

 

見るとなぜかハッピーになれる、トレックファンたちの愛すべき狂気じみた日々を追ったドキュメンタリー。
トレッキーズ スター・トレック万歳! [DVD]トレッキーズ スター・トレック万歳! [DVD]
トレッキーズ2 ~スター・トレックはやめられない! [DVD]トレッキーズ2 ~スター・トレックはやめられない! [DVD]

 

最後に、いちおう「ファンムービー」っていう括りだから外したけど、SWのパロディ作品としてこれは無視するわけにはいかないよね…?

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おまけ。
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こういう愛に満ち満ちた作品と出逢うとほっこりハッピーになります。
JJの作るスターウォーズ新3部作も、そうなっていってくれると期待しています。

 

 

あ、そういえば『フォースの覚醒』にいきなり『ザ・レイド』のご一行様が登場しててそこがけっこうツボでした。

ザ・レイド Blu-rayザ・レイド GOKUDO アンレイテッド [Blu-ray]

事前にこっちも予習しておくとちょっとだけ楽しさマシマシ。

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